2018.01.18

菌との共生 なんでも除菌では・・・

昼食を食べながらテレビを見ていますと、まな板に菌が繁殖して口に入ったら大変だから除菌のできる洗剤を、というCMをよく見ます。

体に害を及ぼす菌を避けるのは大事ですが、常に無菌の状態にしないと危険ですよ、みたいなCMのやり方には違和感を覚えます。先日興味深い医学記事を読んだので紹介します。

我々の周りには無数の細菌が存在しています。健康な状態であっても我々の皮膚や口、腸の中に細菌は存在し、住みついています。存在しても体に悪影響を及ぼさない細菌、これを常在菌といいます。呼吸をしたり飲食をすれば当然多数の細菌が入ってきます。免疫がそれらの菌から我々を防御するのですが、我々に住みついている常在菌もその役割を担っているとされています。

実験で、無菌状態のマウスに病原性のある細菌が感染すると死亡するが、マウスに常在菌がいると死なずに済むという報告がなされています。人間でも、産まれたばかりの赤ちゃんは無菌状態ですが、3時間後には口の中に特定の菌が住みつき始め、この菌が他の細菌をやっつけたり体に住みつかないように防御してくれているそうです。重篤な疾患のために出生時から無菌室に入れられる赤ちゃんは、むしろMRSAなどの危険な細菌に感染しやすいという報告もあります。

つまり細菌には体にとって必要な菌と害を及ぼす菌があって、人間の体はそれを自動的に取捨選択できる能力を持っているということなのです。ですからなんでもかんでも除菌ということをやっていると、体にとって必要な菌まで駆逐してしまい、かえって体に害を及ぼしているということにもなりかねないのです。私が子供だった頃に比べアレルギーを持つ子供の割合が増えているのも、きれい過ぎる環境が体の抵抗力や防御力を奪っているせいだという医師もいます。

しかしながら年をとってくると話は変わってくるようです。歯周病や入れ歯、喫煙などの影響で口の中の細菌の種類が変わってしまい、体に害を及ぼす菌が増えやすくなると言われています。歯を健康に保つこと、タバコをすわないことが大事ということになります。

人間も地球の生き物の一員であり、何百万年と続いてきた菌との共生を否定すればバランスが崩れるということなのでしょう。

だからといって細菌に対しての対策が不要なわけではなく、必要十分な措置はTPOに応じてすべきものであり、当院でも院内感染対策は十分に行っていますのでご安心下さい。