2017.12.17

グルコサミン、コンドロイチンは効くのか?【yoc通信 63号】

日々診療をしていますと、よく質問されることの一つに「グルコ何とかって、効果あるんですか?家族に勧められるんやけど」というのがあります。今回はそのお話を。

グルコサミンは1998年、米国の健康コラムニスト、Brody女史によるNew York Timesの記事で、「関節を痛がり走らなかった自分の犬にグルコサミンとコンドロイチンの入った餌を食べさせたら元気に走るようになったので、私もこれを始めたら膝の症状がよくなった」という記事から流行りだしました。色々な会社から販売されていますが、医学的にはどのような効果があるのでしょう。

とある広告によれば、「グルコサミンやコンドロイチンは関節の軟骨の重要な成分であり、加齢に伴い不足してくるので、それを補給してあげることは大事です」と書かれています。この文言を医学的に検証しますと、「加齢に伴い不足してくる」までは概ね正しいのですが、「補給してあげる」というところが間違っているのです。グルコサミンなどを飲んでも、それらは全ていったん胃袋でとかされ、分解されます。アミノ酸という分子にまで分解されて、それが吸収されて体内に入るのですが、それが関節の軟骨のところへ行って、元通り軟骨の成分になる保証はありません。実際にグルコサミンに特殊な印をつけて飲んでから、それが関節の軟骨に届いているか調べた学者がいますが、結果はまったく届いていないという結果でした。

筋肉成分だとかヒアルロン酸だとか、色々手をかえ品を変え皆さんを誘っていますが、口から食べたものは全部胃袋で分解されるので、何を食べても同じです。広告の言い分をいいかえれば、「髪の毛の薄い人は、髪の毛を食べれば髪の毛が生えてくる」と言っているのと同じなのです。皆さん、生えてきそうだ、と思いますか?

実際に飲んでる方もおられます。飲んでいると調子がよくなったという方もおられます。そういう方に飲むなとは言いませんが、医学的には意味がないというのが今の見解です。ではどうしてそんな詐欺まがいの広告がまかりとおるのか。それは、これらサプリメントはすべて「健康食品」であって「医薬品」ではないからなのです。医薬品であれば、医学的なデータをだして効果を実証する必要がありますが、食品ですからその必要がないのです。

またこういうものにはたいてい、ビタミン成分が一緒に入っています。そのあたりの効能で元気になっている可能性が高いと思われます。毒にはなりませんが、薬にもならない。値段もまあまあしますし、お金に余裕のある方は飲んで悪くはないのでは?というのが私の今の見解です。

ちなみに流行のきっかけを作ったアメリカのBrody女史は、その後膝の痛みが悪化して人工膝関節を入れる手術を受けています。推して知るべし、ですね。膝の痛みを取るためには、やはりその人に応じた適切な治療が必要です。皆さん、診察をうけましょう。

2017.12.17

看護師さん募集のお知らせ

当院では現在、パートで働いていただける看護師さんを募集しております。金曜午前、土曜午前、月曜午後に働ける方、歓迎します。職場掛け持ちもOKです。小さな医院ですので風通しもよく、働きやすい環境ではないかと自負しております。詳細は求人情報のページをご覧ください。お問い合わせ、ご連絡お待ちしております。

2017.12.17

骨折発生率が西高東低の原因とは? 【yoc通信 69号】

当院ではyoc通信という小さな情報誌を数年前から診察室に置いています。これからホームページにもアップしていこうと思います。また過去のものもピックアップして掲載していきたいと思います。まずは今月発行のものから。

西高東低

「西高東低」というと、冬の天気予報でよく聞く言葉かと思います。先日、骨粗鬆症財団という機関から、骨折に関わる「西高東低」の速報がでました。今回はそのお話を。

高齢者が転んだ時に多いのが脚の付け根の骨折、大腿骨頚部骨折です。この骨折を起こしてしまうと全く歩行ができなくなってしまうので、手術をしなくてはならなくなる怖い骨折です。先日、骨粗鬆症財団が医療機関から提出されるレセプトのデータを使用して、大腿骨頚部骨折の発生率を調査しました。その結果、2015年の年間骨折発生率は、人口10万人あたり男性が89.2人、女性が299人となり、都道府県別にみると男女ともに発生率は「西高東低」であることがわかりました。

 

その原因が何なのか。諸説あります。

1.納豆の食習慣

納豆にはビタミンKがたくさん含まれています。ビタミンKは血液凝固、骨を作るために必要とされ、動脈硬化の防止作用もあります。東日本では納豆を食べる習慣が定着しているため、骨折の発生率が下がっているのではという説。

2.気候

当たり前ですが、東日本は西日本に比べ気候的に寒い。冬場は雪も積もります。どうしても家で過ごすことが多くなる。出歩かないから発生率が少ないのでは、という説。しかし大腿骨頚部骨折の発生場所は屋内が半数以上ですから、これはちょっと原因としては弱いです。

3.骨粗鬆症に対する問題意識の差

骨粗鬆症の予防・治療が、元気に年を重ねるためには大事だということは耳にされることと思います。骨密度検査・骨に関わる血液検査の実施率をみると、男女とも青森県、北陸、北関東、長野県、宮崎県で高く、この地域の骨折発生率をみますと比較的低いのです。日頃の骨粗鬆症に対する意識の差が骨折発生率に影響している可能性があります。

ご当地大阪は、男女とも骨折発生率は残念ながらかなり高く、われわれ整形外科医も今後さらに骨粗鬆症に対する啓蒙、啓発を行っていく必要があるなあと思います。自分は大丈夫なのかな?と思われたらならば、気軽に受診していただければと思います。