2017.12.17

温泉は本当に効くのか?【yoc通信45号】

古来色々な効果があるとされ、日本人が愛して止まない温泉。私も好きで、日本人に生まれてよかったと思います。うちみ、皮膚病、リウマチに効く等と脱衣場には掲示されていますが実際の所はどうなのか調べてみました。

温泉は大きく分けて3つに分類されるそうです。

1.火山性温泉:文字通り火山のそばに沸く温泉。霧島・阿蘇などが代表です。雨が浸透していき、地下のマグマによって高温高圧にさらされた水は抗酸化作用を持ちます。それが湧き出て温泉になります。この抗酸化作用こそが効能効果をもちますが、空気に触れたり、塩素系消毒剤を入れるとたちまち作用は失われてしまいます。源泉かけ流しこそが、この温泉の真髄ということになります。

2.非火山性温泉:周辺に火山のないもの。有馬・白浜・道後などが代表です。地殻変動、地震の原因となる大陸プレートの移動による摩擦熱で地中の水が温められているとされています。

3.化石海水型温泉:大昔、海であったところが陸地になるときに一部の海水が地層の中に封じ込められて化石化した水を吸い上げて温泉としているもの。東京や大阪で乱立しているスーパー銭湯は、たいていこれになります。何がしかのイオン成分が入っていて25度以上あれば、日本の法律上は「温泉」を名乗ってもいいとされていますので、りっぱな温泉ということになります。たまっている水を吸い上げているだけですから、枯渇・地盤沈下などのリスクをはらんでいます。

では実際の効果とは、どのようなものなのでしょうか。

温熱:血管拡張・代謝亢進・緊張緩和・リラックス。

イオン・化合物:殺菌効果・保湿

pH:酸性なら殺菌。アルカリ性なら皮膚清浄。

抗酸化作用:あらゆる生体機能を活性化。

などなど。しかしここで注意点があります。上記の作用がすべて備わるのは火山性の源泉かけ流しのみです。湧いて時間が経てばイオン、pH、抗酸化作用はどんどん失われていきます。ましてや塩素系消毒剤を入れてしまえばそれはもうただのお湯と同じになってしまいます。では塩素入りの循環水をつかっている温泉は意味がないのか?そんなことはありません。日常の生活を離れて大きな温泉に入ると、なんとなく気分が落ち着いて疲れが取れたような気になる。この癒しの気分というのが、温泉の真髄でもあるのです。こういう気分は病院では決してだせることのない、温泉ならではのものです。いい湯だな♪♪と思うその気持ちにこそ効果があるのです。どうですか?温泉に行きたくなってきましたか?

2017.12.17

ストレートネックについて【yoc通信 51号】

慢性的な肩、首の凝りに悩んでいる人は多く、当院にも毎日のように来院されますが、話を聞いているとテレビや他の医師から、ストレートネックだから中々治らないよ、と言われて悩んでいるという方が結構おられます。頚椎の格好は横から見たときに前のめりのカーブを描くのが理想的とされています。ストレートネックとは頚椎の並びがまっすぐすぎることを指します。でもそれだけで頚部痛がでるのかはっきりしないところがあり、我々医師の間では統一した見解がありませんでした。

ところが最近、実際レントゲンで頚椎の格好がいい人、悪い人で頚部痛の出方に差があるのか調査した論文が発表されました。頚部痛を訴える762人の方を対象に調べた結果、頚椎の格好と頚部痛の出方には関係がないという結果が出たそうです。つまりストレートネックだからといって頚部痛が取れにくい訳ではないことが証明されたことになります。

論文では姿勢よりも運動不足や仕事(デスクワークなど)、メンタル的なストレスのほうが慢性化の影響因子になっているとのことでした。

2017.12.17

膝の痛みに対する運動の効果 【yoc通信 58号】

膝が痛む疾患といえば、何といっても一番多いのは変形性膝関節症です。膝関節に加齢性の変形、あるいは外傷後の変形が残存し、疼痛・運動制限が生じている状態のことを言います。現在でも手術以外に変形を元に戻す方法はなく、変形があっても支障なく過ごせるような状態にコントロールすることが保存治療の基本になります。

コントロールの方法としては痛み止めの内服薬や外用剤、ヒアルロン酸注射、電気治療や温熱治療といった物理療法(機械でのリハビリ)があげられます。また膝の周りの筋肉を鍛える、あるいは柔軟性を出すといった訓練としてのリハビリの重要性が最近クローズアップされています。

2000年代に入り、膝の周囲の筋肉を鍛えることによって、痛み止めを飲んだりヒアルロン酸の注射を受けたときと同等の鎮痛効果が得られる、という医学論文が世界中から出るようになりました。筋肉を鍛えるリハビリを受けると、早い人は1か月で疼痛が緩和したとの報告もあります。また歩行、階段昇降、トイレ動作等の日常生活上の障害についても、訓練をすることですべてにおいて改善が得られるとの論文もあります。

さて、ではなぜ運動・訓練をすると痛みが軽減するのか?少し前までは筋肉がついて、膝関節の周りがしっかりするからではないか、という漠然とした理由があげられていました。しかし2000年代に入ってから、適度な運動刺激を関節の組織、特に軟骨細胞に与えると、細胞に炎症を抑える反応が起きることが明らかになりました。まず動物実験で、軟骨細胞を壊す薬を入れた関節に運動刺激を加えると、細胞が壊れるのが抑えられることがわかりました。でも運動刺激が強すぎると逆に炎症を悪化させる物質が細胞から出てきてしまうこと、またそれらの変化は遺伝子レベルでも起きていることもわかりました。そして人間においても、運動することにより関節の周りに炎症を抑える物質がでてくることが2010年に証明されました。

このように、適度に運動・訓練を行うことは、関節の細胞に働きかけて、細胞自身から炎症を抑える物質(いわば自らを治す薬)を出す効果があることがわかったわけであり、運動を適度に行うことの重要性が再認識されてきています。